酒類市場の伸び悩みが報じられるなか、ビール大手各社が相次いでノンアルコール飲料の新商品を投入していると報じられています。健康志向やライフスタイルの多様化を背景に、アルコールを控える選択肢が広がるなかでの動きと言えそうです。
一方、コンカフェ業界では「お酒を楽しむ場」としての文化が根強いところも多く、業界全体としては酒類市場の停滞を感じられるように思えません。実際にアルコールメニューを軸にしたコンカフェも多く、乾杯やシャンパンコールなど、お酒を介したコミュニケーションがコンカフェの魅力の一端を担っています。
しかしながら、すべての来店客やキャストがアルコールを楽しめるわけではありません。お酒が苦手な方や、未成年のキャストが在籍する店舗も少なくなく、そうした背景から「ノンアル飲料の充実」を求める声も徐々に高まりつつあります。
特にアサヒビールから9月17日より販売されているという「ウィルキンソン タンサン タグソバー」は、夜専用の炭酸水をコンセプトにしたノンアル飲料で、お酒を飲めない人とお酒を飲みたい人との共存にぴったりともいえる味わいではないかと思われます。
またサントリーから9月24日より販売されるというノンアルコールビールの「ザ・ベゼルズ」や、キリンビールから9月30日より販売されるというノンアルコールビール「ラガーゼロ」は、ビールを飲みたいけど健康の事を考えたい人の選択肢になったり、ビールを飲んでみたいけどまだ未成年だから飲めない人が試しに飲んでみるのに最適なように感じます。
このような流れを受けて、ノンアル飲料を積極的に導入するコンカフェも登場し始めています。アルコールが飲めなくても、雰囲気や接客を楽しめる場としての価値を再定義する動きは、業界の裾野を広げる可能性を秘めています。
とはいえ、既にアルコール文化が定着している店舗では「ノンアルを置いても注文が少なく、在庫を抱えてしまう」といった課題も聞かれます。導入には慎重な判断が求められる場面もあるかと思います。
今後、ノンアル飲料が「選択肢のひとつ」として自然に受け入れられ、誰もが気軽にコンカフェを楽しめる文化が育っていくことに期待したいところです。